大槻タイムズを閲覧いただき有難うございます。大槻タイムズは、労働・人事・労務に関連する最新の主要情報をまとめて掲載しています。組織の法令順守には新しい、かつ正確な情報の取得がもっとも重要になります。この大槻タイムズが貴社の発展の一助になれば幸いです。
今月のTOPIC S
1. 脳・心臓疾患の労災認定基準を改定
2. 小学校休業等に伴う保護者の休暇取得支援の再開について
3. 自動車運転者を使用する事業場に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表
4. 長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表
5. 10月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
6.育児休業、介護休業又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行日が公示
1.脳・心臓疾患の労災認定基準を改定
厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を改定し、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患および虚血性疾患等の認定基準」として、9月14日付で各都道府県労働局長宛てに通知した。
脳・心臓疾患の労災認定基準については、改正から約20年が経過する中で、働き方の多様化や職場環境の変化から、最新の医学的知見を踏まえ、厚生労働省の専門検討会において検証を行い、令和3年7月16日に報告書が取りまとめられた。
認定基準改正のポイントは以下の通り。
- 長時間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
- 長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
- 短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
- 対象疾病に「重篤な心不全」を追加
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/000833808.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21017.html
(クリックすると外部サイトに移動します)
2. 小学校休業等に伴う保護者の休暇取得支援の再開について
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症による小学校等の臨時休業等に伴い、仕事を休まざるを得ない保護者を支援するため、「小学校休業等対応助成金・支援金」制度を再開することとした。また、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みにより、労働者が直接請求することを可能とする予定であることを公表した。
概要は以下の通り。
- 「小学校休業等対応助成金・支援金」制度の再開
令和2年度に実施していた「小学校休業等対応助成金・支援金」制度を再開する
※対象となるのは令和3年8月1日以降12月31日までに取得した休暇とし、現在実施している「両立支援等助成金 育児休業等支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例」は令和3年7月31日までに取得した休暇が対象となるものとする。
※対象労働者の日額換算賃金の上限は13,500円とする。ただし、助成金の申請の対象期間(申請のあった休暇日の最初の日から最後の日までの期間)において、1日以上緊急事態宣言の対象区域又はまん延防止等重点措置を実施すべき地域に事業所を有する事業主については、従前どおり15,000円が上限となる。
2. 「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」の再開
今後全国の都道府県労働局に特別相談窓口を設置し、労働者からの相談に応じて、事業主への小学校等対応助成金の働きかけを行う予定
3. 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みによる申請
昨年同様、労働者が直接申請できることとする対応も行う予定
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/000837503.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
(クリックすると外部サイトに移動します)
3.自動車運転者を使用する事業場に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表
厚生労働省は、令和2年にトラック、バス、タクシー等の自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめ、公表した。
厚生労働省では、引き続き、法令違反の疑いがある事業場に対して監督指導を実施する等、自動車運転者の適正な労働条件の確保に取り組むが、度重なる指導にもかかわらず法令違反の是正をしない等、重大・悪質な事案に対しては、送検を行う等厳正に対応していく。
令和2年の監督指導・送検の概要は以下の通り。
・監督指導を実施した事業場3,654事業場
このうち、労働基準関係法令違反2,957事業場(80.9%)・改善基準告示違反1,882事業場(51.5%)
※改善基準告示:「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)
・主な労働基準関係法令違反事項
①労働時間(45.5%) ②割増賃金の支払支払い(22.9%) ③休日(3.4%)
・主な改善基準告示違反事項
①最大拘束時間(37.1%) ②総拘束時間(27.9%) ③休息時間(25.9%)
・最大・悪質な労働基準関係法令違反による送検数61件
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000822625.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000822830.pdf
(クリックすると外部サイトに移動します)
4.長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導、結果を公表
厚生労働省では、令和2年度に、長時間労働が疑われる事業場に対して実施した監督指導の結果を取りまとめ、事例と共に公表した。
今回の監督指導の対象となったのは、時間外・休日労働時間数が1か月あたり80時間を超えると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等の労災請求が行われた事業場である。
令和2年4月から令和3年3月までの監督指導結果は以下の通り。
- 主な業種を計上しているため、合計数とは一致しない。
- かっこ内は、監督指導実施事業場数に対する割合である。
- 労働基準法第32条違反(36協定なく時間外労働を行わせていること、36協定が無効なこと又は36協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせていることにより違法な時間外労働があったもの。)、労働基準法第36条第6項違反(時間外労働の上限規制)等の件数を計上している。
- 労働基準法第37条違反(割増賃金)のうち、賃金不払残業の件数を計上している(計算誤りは含まない。)。
- 労働安全衛生法第18条違反(衛生委員会を設置していないもの等。)、労働安全衛生法第66条違反(健康診断を行っていないもの。)、労働安全衛生法第66条の8違反(1月当たり80時間を超える時間外・休日労働を行った労働者から、医師による面接指導の申出があったにもかかわらず、面接指導を実施していないもの。)、労働安全衛生法第66条の8の3違反(客観的な方法その他の適切な方法により労働時間の状況を把握していないもの。)等の件数を計上している。
- 「その他の事業」とは、派遣業、警備業、情報処理サービス業等をいう。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000667303.pdf
(クリックすると外部サイトに移動します)
5. 10月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
今般の緊急事態措置区域の追加・実施時期の延長を踏まえ、新型コロナウイルス感染症にかかわる雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染対応休業支援金・給付金の特例措置については、9月末までとしている現在の助成内容を11月末まで継続する予定。
なお、12月以降の取扱いについては、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していくこととし、具体的な助成内容を検討のうえ、10月中に改めて発表する。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/r310cohotokurei_00001.html
(クリックすると外部サイトに移動します)
6. 育児休業、介護休業又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の施行日が公示
令和3年6月9日に公布された、育児休業、介護休業又は、家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律中、下記改正については施行日を「公布日から1年6月を超えない範囲内で政令で定める日」とされていたところ、9月27日の官報において、施行日を令和4年10月1日とする旨、公示された。また、厚生労働同省から改正に関する省令・指針等が明らかにされた。
【施行日が令和4年10月1日と公示された改正の概要】
- 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
- 育児休業の分割取得
- 育児休業給付に関する所要の規定の整備
(出典 厚生労働省)
【官報HP・厚生労働省HP】
https://kanpou.npb.go.jp/20210927/20210927g00218/20210927g002180007f.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(クリックすると外部サイトに移動します)
編集後記
めっきり秋らしくなり、季節の移り変わりを肌で感じる季節となりました。皆様お変わりございませんか?
この時期、遠出の紅葉狩りはまだ控えた方がよさそうですが、見上げた空の高さ、街路樹の色づき、金木犀が放つほのかな香り、夜道の虫の音、果実の豊潤な味等々、小さい秋を全身で思いっきり感じることができます。秋は五感が冴えわたる季節ですね。
大槻事務所でも、感覚を研ぎ澄ましてクライアントの皆様のご要望を察知し、お応えしていきたいと思っております。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
【三戸礼子】
【発行元・お問合せ】
社会保険労務士法人大槻経営労務管理事務所
〒104-0061
東京都中央区銀座1-16-7 銀座大栄ビル4F
Tel.03-5524-1701/Fax.03-5524-1708
オンラインによる相談はこちらから申込みください
(クリックするとオンライン労務相談にアクセスします)