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今月のTOPIC S
1. 雇用保険マルチジョブホルダー制度に関するQ&Aを公表
2. 新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査結果を公表
3. 雇用保険制度の財政運営を公表
4.労働基準監督署の監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)を公表
5. 令和4年10月からの育児休業給付について
1.雇用保険マルチジョブホルダー制度に関するQ&Aを公表
厚生労働省は、令和4年1月1日に適用される「雇用保険マルチジョブホルダー」制度に関するQ&Aを公表した。
同制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうちの2つの事業所での勤務を合計して、①複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること、②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること、③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であることの要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度となっている。
マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する者が雇用保険の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生する。住居所管轄ハローワークより送付される「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得確認通知書(事業主通知用)」に記載されている資格取得日を確認する必要がある。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
<雇用保険マルチジョブホルダー制度について>
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838542.pdf
<Q&A~雇用保険マルチジョブホルダー制度~>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508_00002.html
2. 新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査結果を公表
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)は、新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査結果を公表した。
企業の経営状況について、コロナ禍前と比較した2021年5月の企業の生産・売上額等は、増加18.3%、減少52.1%と、過半数の企業はコロナ禍前の水準に戻っていないが、2割弱の企業はコロナ禍前を上回っている。企業における労働者の増減と過不足状況について、コロナ禍前の2019年12月と比較した企業の2021年5月の労働者は、増加17.8%、減少19.3%となっているが、1年後の見込みは、増加が28.0%と、減少の8.5%を大幅に上回っている。
(出典 独立行政法人労働政策研究・研修機構)
【第4回新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査(一次集計)】
https://www.jil.go.jp/press/documents/20210915.pdf
3.雇用保険制度の財政運営を公表
第154回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が9月4日に開催され、雇用保険制度の財政運営が資料として公表された。
積立金残高は、令和元年度に4兆4,871億円だったが、新型コロナウイルス感染拡大が始まった令和2年度に1兆9,826億円、令和3年度(前年度決算反映後予算)は4,039億円と大きく減少している。
令和3年度においては、保険料などの全収入が4,314億円と令和元年度の1兆1,386億円に比べて2分の1以下となる一方で、失業給付などの全支出は1兆7,800億円となり、収支として、マイナス1兆3,486億円となっている。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000828418.pdf
4.労働基準監督署の監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)を公表
厚生労働省は、労働基準監督署が行った監督指導により、不払いだった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめ公表した。
【令和2年4月から令和3年3月までの監督指導による賃金不払残業の是正結果】
1.是正対象企業数: 1,062企業(前年度比549企業減)
2.対象労働者数: 6万5,395人(同1万3,322人減)
3.支払われた割増賃金の合計額: 69億8,614万円(同28億5,454万円減)
4.支払われた割増賃金の平均額: 1企業あたり658万円、労働者1人あたり11万円
業種別の企業数で、最も多いのは製造業の215企業(全体の20.2%)、次いで、商業190企業(同17.9%)、保健衛生業125企業(同11.8%)の順となっている。
業種別の対象労働者数で、最も多いのは製造業の1万9,786人(全体の30.3%)、次いで、保健衛生業9,614人(同14.7%)、接客娯楽業8,324人(同12.7%)の順となっている。
業種別の是正支払額で、最も多いのは製造業の15億364万円(全体の21.5%)、次いで、教育・研究業11億6,452万円(同16.7%)、保健衛生業11億3,004万円(同16.2%)の順となっている。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_r02.html
5.令和4年10月からの育児休業給付について
令和3年育児介護休業法改正により、育児休業の分割取得および出生時育児休業(産後パパ育休)が新設され、令和4年10月1日に施行される。
この改正により、育児休業の分割取得、出生時育児休業(産後パパ育休)に対応した育児休業給付金が支給される。
【育児休業の分割取得について】
1歳未満の子について、2回までの育児休業を受給可能とし、 3回目以降の育児休業については、原則育児休業給付金は受給不可となるが、例外として、別の子の産前産後休業開始や別の家族の介護休業開始等の例外事由に該当する場合は、この回数制限から除外される。 また、育児休業の延長事由があり、かつ、夫婦交代で育児休業を取得する場合は、1歳から1歳6か月および1歳6か月から2歳の各期間において、夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金が受給可能となる。
【出生時育児休業について】
子の出生後8週間以内で育児休業を取得した最大4週間について、出生時育児休業給付金が受給できる。
支給要件は、休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業している時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あることとし、休業期間中の就業日数の制限として、最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下としている。
支給額は、休業開始時賃金日額(原則、育児休業開始前6か月間の賃金を180で除した額)×支給日数×67% とし、申請期間は、出生日(出産予定日前に子が出生した場合は、当該出産予定日)の8週間後の翌日から起算して2か月後の月末までとしている。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838696.pdf
編集後記
緊急事態宣言も解除され、少しずつですが以前の生活を取り戻しつつある今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
陽気も秋めいてきて、どこかに出かけるにはとてもいいシーズンになって参りました。しかしながら、しっかり行楽を楽しめたのはコロナ禍前なので2年以上前のことになります。
この間、皆様新しい生活様式で、新しい感覚を自分の中に取入れ、変化していった時間になったと思います。2年我慢した分を以前と同じ形で発散しようということでなく、コロナ再拡大を防ぐためにも、大きな変化を取り入れた新しい自分で、新しい楽しみ方をしていきたいものです。
【鈴木麻耶】
【発行元・お問合せ】
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