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今月のTOPIC S
- 雇用保険料率の引き上げ等を含めた「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を国会に提出
- 令和4年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定
- 令和3年12月および令和3年平均の有効求人倍率・完全失業率を公表
- 令和4年4月から年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正
- 令和4年4月以降の雇用調整助成金の特例措置等について6月まで延長
- 令和4年4月以降の小学校休業等対応助成金・支援金の内容等について政府が方針を公表
1. 雇用保険料率の引き上げ等を含めた「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を国会に提出
「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、令和4年の通常国会に提出された。改正案の概要等は下記の通りである。
(1)失業等給付に係る暫定措置の継続等 (雇用保険法、雇用保険臨時特例法)
①雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、雇用機会が不足する地域における給付日数の延長、教育訓練支援給付金等の暫定措置を令和6年度まで継続するとともに、コロナ禍に対応した給付日数の延長の特例について、緊急事態措置の終了日の1年後まで対象とする等の見直しを行う。
②基本手当の受給資格者が事業を開始した場合等に、当該事業の実施期間を失業等給付の受給期間に算入しない特例を設ける。
③雇用保険受給者が求職者支援制度に基づく訓練を受ける場合に訓練延長給付等の対象とする。
(2)求人メディア等のマッチング機能の質の向上 (職業安定法)
①新たな形態の求人メディアについて「募集情報等提供」の定義に含めるとともに、募集情報等提供事業者を、雇用情報の充実等に関し、ハローワーク等と相互に協力するように努める主体として法的に位置づける。
②募集情報等提供事業者に対し、募集情報等の正確性や最新性を保つための措置、個人情報保護、苦情処理体制の整備を義務付けるとともに、改善命令等の指導監督を可能とし、求職者情報を収集し事前に届出を行うこととし、迅速な指導監督を可能とする。
(3)地域のニーズに対応した職業訓練の推進等 (職業能力開発促進法)
①職業訓練に地域のニーズを適切に反映すること等により、効果的な人材育成につなげるため、関係者による都道府県単位の協議会の仕組みを設ける。
②キャリアコンサルティングの推進に係る事業主・国等の責務規程を整備する。
(4)雇用保険料率の暫定措置および雇用情勢等に応じた機動的な国庫負担の導入等
(雇用保険法、労働保険徴収法、特別会計法)
①雇用保険の失業等給付に係る保険料率(原則8/1000)について、令和4年4月から9月まで2/1000(事業主負担1/1000、労働者負担1/1000)、10月から令和5年3月まで6/1000(事業主負担3/1000、労働者負担3/1000)とする。
※全体の雇用保険料率は令和4年4月から9月まで労使負担は9.5/1000、10月から令和5年3月まで13.5/1000になる。
②求職者給付の国庫負担割合について、雇用保険財政や雇用情勢に応じて異なる国庫負担割合を適用するとともに、別途国庫から機動的に繰入れ可能な仕組みを導入する。
また、育児休業給付等の国庫負担割合の引き下げの暫定措置を令和6年度まで継続し、求職者支援制度の国庫負担割合の引下げの暫定措置は、当分の間、55/100とする等。
施行期日は令和4年4月1日。ただし、(1)②③は令和4年7月1日、(2)①の一部および②ならびに
(3)①は令和4年10月1日 等)
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省 HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/208.html(クリックすると外部サイトに移動します)
2. 令和4年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定
協会けんぽより令和4年度の保険料率が決定された。令和4年度の都道府県単位保険料率について全ての都道府県で変更され、引き下げられたのが18都道府県、引き上げられたのが29県になる。
全国平均10%は維持され、東京都における令和4年度の都道府県単位保険料は9.84%から9.81%に引き下げされた。
令和4年3月分から(任意継続被保険者は同年4月)の保険料から適用になる。
(出典 協会けんぽ)
【協会けんぽ HP】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r4/220202/
(クリックすると外部サイトに移動します)
3.令和3年12月および令和3年平均の有効求人倍率・完全失業率を公表
厚生労働省は令和3年12月分および令和3年分の一般職業紹介状況が公表した。
令和3年分(年平均)については有効求人倍率1.13倍で前年に比べて0.05ポイント低下(3年連続の低下)、完全失業率は2.8%で前年と同率。令和3年12月分は有効求人倍率1.16倍で前年に比べて0.01ポイント上昇し、完全失業率は2.7%で前年に比べて0.1ポイント低下した。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省 HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23556.html(クリックすると外部サイトに移動します)
4.令和4年4月から年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正
(1)在職中の年金受給の在り方の見直し (厚生年金法)
①高齢期の就労継続を早期に年金額に反映する為、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額を毎年定時に改定する。在職中であっても、年金額の改定を定時に行う(毎年1回、10月分から)
②60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金について、支給停止とならない範囲を拡大する。支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円に引き上げる。
(2)受給開始時期の選択肢の拡大 (国民年金法、厚生年金保険法等)
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を60歳から75歳の間に拡大する。
75歳から受給を開始した場合には、年金月額は84%増額となる。
※繰下げについては、66歳到達以降に選択することができる。
※改正後の繰下げについては、令和4年4月1日以降に70歳に到達する方が対象となる。
(3)確定拠出年金の加入可能要件の見直し(確定拠出年金法、確定給付企業年金法、独立行政法人農業者)
確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等の選択肢を拡大する。
(出典 厚生労働省)
【厚生労働省 HP】
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf(クリックすると外部サイトに移動します)
5.令和4年4月以降の雇用調整助成金の特例措置等について政府が方針を公表
新型コロナウイルス感染症にかかわる雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置について、令和4年4月以降の助成内容は令和4年3月時点の助成率や上限額を変更することなく、令和4年6月まで延長する予定となることが公表された。令和4年7月以降の取扱いについては、「経済財政運営と改革の基本方針2021(令和3年6月18 日閣議決定)」に沿って、雇用情勢を見極めながら具体的な助成内容を検討のうえ、5月末までに改めて公表する予定。
【厚生労働省 HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/r404cohotokurei_00001.html(クリックすると外部サイトに移動します)
6.令和4年4月以降の小学校休業等対応助成金・支援金の内容等について政府が方針を公表
(1)小学校休業等対応助成金・支援金
①小学校休業等対応助成金 (労働者を雇用する事業主向け)
休暇中に支払った賃金相当額×10/10を助成する点に変更はない。
日額上限について、令和4年3月時点の金額(原則9,000円、特例15,000円)となる予定。
②小学校休業等対応支援金 (委託を受けて個人で仕事をする方向け)
就業できなかった日について、1日あたり定額で支給する点に変更はない。
支給額について、令和4年3月時点の金額(原則4,500円、特例7,500円)となる予定。
(2)小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口の設置期間の延長
小学校休業対応助成金に関する相談に対応するため、「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」を、令和4年6月30日までの期間、全国の都道府県労働局に設置している。この設置期間も、延長する予定。
(3)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みによる申請
労働局からの本助成金の活用の働きかけに事業主が応じない場合に、令和4年3月末までに取得した休暇と同様に、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みにより、労働者が個人で申請できることとする対応も、令和4年6月末までに取得した休暇について行う予定。
【厚生労働省 HP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24071.html
(クリックすると外部サイトに移動します)
編集後記
年度末の3 月となり、まだ寒い日は続きますが暖かさもあり春の気配を感じるようになりました。
今年度は東京と北京で2回もオリンピックが開催された貴重な1年でした。コロナ禍で明るい話題が少ない中、オリンピックで活躍した選手の笑顔を見ると、私も勇気と感動をもらうことができました。
大槻事務所でも新たな年度に向けて法改正の情報をより詳しく、わかりやすくお届けできるように精進して参ります。来年度も引き続きよろしくお願いいたします。
【齋藤真樹】
【発行元・お問合せ】
社会保険労務士法人大槻経営労務管理事務所
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