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今月のTOPIC S

1. 賃金の「デジタル払い」来年度解禁へ厚労省労使の審議会に制度最新案提示

2. 令和4年10月施行の育児休業給付制度の改正について(雇用保険)

3. 令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります

4. 厚生労働省「令和4年版労働経済の分析(労働経済白書)」を公表


1. 賃金の「デジタル払い」来年度解禁へ厚労省労使の審議会に制度最新案提示

キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いのニーズに対応する「賃金デジタル払い」が、来春にも解禁される見通しとなった。令和4年9月13日開催の労働政策審議会で示された骨子案で重要な課題となっていた資金保全の仕組みに関し、「口座残高上限額を100万円以下に設定している(または100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じている)資金移動業者に限定することで、破綻時に、労働者の口座残高全額を速やかに労働者に保証することとする」といった対応案を示している。

デジタル払いは資金移動業者と呼ばれるスマートフォンの決済アプリ等のアカウントに賃金を送金し、労働者はアプリでそのまま買い物等ができる仕組みだが、資金移動業者は厚生労働省の指定を受ける必要がある。

(出典 厚生労働省)

【厚生労働省HP】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27962.html

(クリックすると外部サイトに移動します)

2.  令和4年10月施行の育児休業給付制度の改正について(雇用保険)

育児・介護休業法の改正により、令和4年10月から、育児休業の2回までの分割と、産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が施行される。さらに、1歳に達する日後の期間について、保育所等における保育の実施が当面行われない等の事情がある場合、1歳6か月または2歳に達する日前までの期間、育児休業給付金の対象となるが、その要件も柔軟化される。これに伴い、育児休業給付についても以下の点が変更となる。

【育児休業の分割取得について】

・1歳未満の子について、原則2回の育児休業まで、育児休業給付金の支給対象となる。

・3回目以降の育児休業については、原則給付金は受けられないが、以下の例外事由に該当する場合には、回数制限から除外される。

①別の子の産前産後休業、育児休業、別の家族の介護休業が始まったことで育児休業が終了した場合で、新たな休業が対象の子または家族の死亡等で終了した場合

②育児休業の申出対象である1歳未満の子の養育を行う配偶者が、死亡、負傷等、婚姻の解消でその子と同居しないこととなった等の理由で、養育することができなくなった場合

③育児休業の申出対象である1歳未満の子が、負傷、疾病等により、2週間以上の期間にわたり世話をする必要となった場合

④育児休業の申出対象である1歳未満の子について、保育所等での保育利用を希望し申込を行っているが、当面その実施が行われない場合

・育児休業の延長事由(保育所等で保育の実施が行われない場合等)があり、かつ夫婦交替で育児休業を取得する場合(延長交替)は、1歳~1歳6か月、1歳6か月~2歳の各期間において夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金の支給対象となる。

【産後パパ育休(出生時育児休業)】

・ 子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる産後パパ育休(出生時育児休業)制度が創設され、この産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に、出生時育児休業給付金の支給対象となる。

 ≪受給資格≫

出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した被保険者で、次のいずれにも該当する場合

イ. 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための出生時育児休業を取得した被保険者であること。

(イ)ここで言う「出生時育児休業」とは、「出生日または出産予定日のうち早い日」から「出生日または出産予定日のうち遅い日から8週間を経過する日の翌日まで」の期間内に4週間(28日)までの範囲で取得するものをいい、休業取得時に退職が確定(予定)している休業は支給の対象とならない。

(ロ)産後休業(出生日の翌日から8週間)は出生時育児休業給付金の対象外。

(ハ)育児をする子は実子・養子を問わない。

※出生時育児休業は同一の子について2回まで分割して取得可能。

ロ. 出生時育児休業を開始した日の2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業している時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。

≪支給要件≫

出生時育児休業期間について、次の要件を全て満たしている場合に支給される。

イ. 出生時育児休業期間の初日から末日まで継続して被保険者資格を有していること。

ロ. 出生時育児休業期間の就業日数が10日以下であること。10日を超える場合は就業している時間が80時間以下であること。

※休業期間が28日間より短い場合は、日数に比例して短くなる。

・14日間休業→最大5日(5日を超える場合は40時間)

・10日間休業→最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)

※出生時育児休業期間中に就業した時間を合計した際に生じた分単位の端数は切り捨てる。また、出生時育児休業を分割して取得する場合は、それぞれの期間ごとに端数処理を行う。

ハ. 出生時育児休業中の就労に対して事業主からわれた賃金が、休業開始時の賃金月額の80%未満であること。

≪支給額≫

(1)休業期間中に賃金がわれていない場合

〇支給額=休業開始時賃金日額✕休業期間の日数(28日が上限)✕67%

※給付率について

出生時育児休業給付金が支給された日数は、育児休業給付の支給率67%限日数である180日に通算されます。181日目以降は支給率50%となる。

(2)休業期間中の就労に対して事業主から賃金がわれている場合

イ. われた賃金が「休業開始時賃金日額✕休業期間の日数」の13%以下の場合

〇支給額=休業開始時賃金日額✕休業期間の日数✕67%

ロ. われた賃金が「休業開始時賃金日額✕休業期間の日数」の13%超~80%未満の場合

〇支給額=休業開始時賃金日額✕休業期間の日数の80%相当額と賃金の差額

ハ. われた賃金が「休業開始時賃金日額✕休業期間の日数」の80%以上の場合

〇支給額=支給されない

※受給資格の確認申請および出生時育児休業給付金の支給申請は育児休業給付金支給と異なり、同時に行う必要がある。

※令和4年10月1日以降に開始する育児休業が対象。

(出典 厚生労働省)

【厚生労働省HP】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000986158.pdf

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3令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります

令和4年6月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の合意による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(3省合意)が改正され、大学生等のキャリア形成支援にかかわる取組を類型化するとともに、一定の基準を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を、広報活動や採用選考活動に使用できるよう、見直しが行われた。この改正は、令和7年3月に卒業・修了する学生(学部生ならば令和5年度に学部3年生に進学する学生)が、令和5年度に参加するインターンシップから適用する。

【キャリア形成支援の4タイプ】

①オープン・カンパニー

大学入試に向けて開くオープン・キャンパスの企業版のようなもので、学生が「企業・業界・仕事を具体的に知る」のが目的。

②キャリア教育

主に大学1~2年生向けで、学生が「自らのキャリア(職業観・就業観)を考える」のが目的で就業は任意。

③汎用的能力・専門活用型インターンシップ

主に大学3~4年生と大学院生向けで、学生が「その仕事に就く能力が自らに備わっているか見極める」のが目的。大学と企業の目的は「マッチング精度向上」と「採用選考を視野に入れた評価材料の取得」。

④高度専門型インターンシップ

大学院生が「自らの専門性を実践で活かし、向上させる(実践研究力の向上等)」目的。

(出典 厚生労働省)

【厚生労働省HP】

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000986401.pdf

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4.厚生労働省「令和4年版労働経済の分析(労働経済白書)」を公表

 厚生労働省は、令和4年9月6日に「令和4年版労働経済の分析(労働経済白書)」を公表した。

労働経済白書は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で、今回で73回目の公表となる。

白書第1部では「労働経済の推移と特徴」で2021年の労働経済をめぐる動向を分析。第2部の「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」では今後の労働力需給を踏まえ労働市場が抱える課題を示し、環境整備とその課題を分析している。

(出典 厚生労働省)

【厚生労働省HP】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27381.html

(クリックすると外部サイトに移動します)

編集後記

暑い暑いと言いながら、朝晩は涼しく感じる日が増えてきました。季節は本格的に秋に向かっています。私は人生で初めてのキャンプに行き、自然の中で涼しい風と虫の鳴き声を聴いて秋を感じてきました。自然の中で頬張るものは何でも本当に美味しくて、夜は温泉に入って焚き火に癒されながら久しぶりにゆっくりできました。ここからはきっと驚くほどの早さで季節が移り変わっていくのだろうと思いますが、皆様くれぐれもご自愛ください。

大槻事務所ではこれからも皆様のお役に立てるよう、常に最新の情報をお届けしてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 【竹林 弘子】

                                                                                                                                                                   

【発行元・お問合せ】

社会保険労務士法人大槻経営労務管理事務所

〒104-0061

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Tel.03-5524-1701/Fax.03-5524-1708

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