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今月のTOPIC S

  1. 心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正
  2. 雇用保険法施行規則の一部を改正
  3. 賃金不払が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果を公表
  4. 令和5年12月1日アルコール検知器の使用義務化規定の正式施行
  5. 令和6年10月短時間労働者の健康保険・厚生年金適用拡大について

1. 心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正

厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正した。この改正は、近年の社会情勢の変化等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」において検討を行い、今年7月に報告書が取りまとめられたことを受けたものとなっている。

【認定基準改正のポイント】

①業務による心理的負荷評価表の見直し

・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加

・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加

・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)

※実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価

②精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し

・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める

③医学意見の収集方法を効率化

・専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更

また、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正され、「業務による心理的負荷評価表」の内容が改められたことを踏まえ、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」も改正される。血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の労災請求事案については、この認定基準に基づき労災認定が行われている。

改正した認定基準は、令和5年10月中旬を目途に厚生労働省労働基準局長通達を発出し、実施される予定となっている。

(出典 厚生労働省)

【厚生労働省HP】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html

血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準案(概要)

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000259296

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2. 雇用保険法施行規則の一部を改正

押印を求める手続の見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令に基づき、令和2年度に行政手続きの押印が原則廃止された。押印が存続しているものは、基本的に金融機関に対する届出印や登記関係の手続等に限られている。雇用保険手続における押印は、原則廃止することとなったものの、一部手続について押印を存続することとされていた。

今般、雇用保険手続における押印の必要性について改めて整理を行い、申請者及び公共職業安定所の双方の負担を軽減する観点から、雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)に規定する様式を改正し、金融機関に対する届出印等の一部を除き、事業主印の押印を全て廃止することになる。

施行期日:令和5年10月1日

(出典 厚生労働省)

【雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要】

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001143624.pdf

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3. 賃金不払が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果を公表

厚生労働省は、令和4年(令和4年1月から令和4年12月まで)に賃金不払が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導での是正事例や送検事例とともに公表した。
厚生労働省では、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化の取組について」(令和3年12月27日閣議了解)等に基づき、賃金不払が疑われる事業場に対して、迅速かつ的確に監督指導を実施するとともに、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しない等、重大・悪質な事案に対しては、送検を行う等厳正に対応している。

【厚生労働省HP】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34397.html

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4. 令和5年12月1日アルコール検知器の使用義務化規定の正式施行

令和4年4月1日以降、安全運転管理者(道路交通法上、一定台数以上の自動車を使用する自動車の使用者が事業所等ごとに置かなければならないとされている)は、運転前後の運転者に対し、当該運転者の状況を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること及びその確認の内容を記録し、当該記録を1年間保存するとされていた。その一方で、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無の確認を行うこと及びアルコール検知器を常時有効に保持することについては、半導体不足によるアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、当分の間、適用しないこととする暫定措置がとられていたが、令和5年12月1日からアルコール検知器の使用義務化規定を正式施行することとした。

(出典 警察庁)

【国家公安委員会告示第三十五号】

https://www.npa.go.jp/laws/kaisei/kokuji/230815/kokuji_kyousoku.pdf

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5. 令和6年10月短時間労働者の健康保険・厚生年金適用拡大について

現在、厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業等で働く短時間労働者は、厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象となっているが、この短時間労働者の加入要件がさらに拡大され、令和6年10月から厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化される。

なお、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等とは、1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業等のことをいう。

令和6年9月上旬までに日本年金機構から新たに適用各隊の対象となることを知らせる通知書類が届く予定となっている。

(出典 日本年金機構)

【日本年金機構HP】

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

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編集後記

例年以上に暑く長い夏の終わりを感じ、やっと秋の気配がしてきました。秋は気温の変化で風邪を引きやすいと言われていますので、体調を崩さないようお気を付けください。

大槻事務所ではこれからも皆様のお役に立てるよう、常に最新の情報をお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

  【加藤 紗代】

                                                                                                                                                                   

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